キャッシングの「契約の相手方等 (行為能力等)」とは?【貸金業務知識vol.3】 | カードローン比較ランキングexia
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キャッシングの「契約の相手方等 (行為能力等)」とは?【貸金業務知識vol.3】

【貸金業務知識vol.3】 キャッシングの 「契約の相手方等 (行為能力等)」 とは? 専門知識
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貸金業の契約の相手方等(行為能力等)とは何ですか?

今回は、貸金業者が貸付けを行う際に注意しなければならない、契約の相手方等(行為能力等)について解説していきたいと思います。

契約の相手方等(行為能力等)とは

Q
契約の相手方等(行為能力等)とは
A

契約の相手方等(行為能力等)とは、貸付けの契約を有効に結ぶことができるかどうか、また、貸付けの契約を結んだ後に問題が生じた場合に、貸金業者が適切な対応をとることができるかどうかに関わる重要な事項です。具体的には、以下のような点が含まれます。

  • 契約相手方の年齢や精神状態など、行為能力の有無や程度
  • 契約相手方が未成年者や成年被後見人など、法定代理人や裁判所の許可が必要な場合
  • 契約相手方が暴力団員や反社会的勢力など、貸付けを拒否すべき場合
  • 契約相手方がマネーロンダリングやテロ資金供与など、不正な目的で貸付けを求めている場合
  • 契約相手方が不正アクセス行為を利用して貸付けを受けようとしている場合


これらの点について、貸金業者は各種の法律や規則に基づいて適切な審査や確認を行わなければなりません。そうしないと、契約が無効になったり、損害賠償や刑事罰の対象になったりする可能性があります。

「契約の相手方等(行為能力等)」関連法令

Q
それでは、貸金業者が参照すべき法律や規則は何ですか?
A

それぞれの法令と趣旨をまとめると、

  • 貸金業法:貸金業者の登録や業務に関する基本的な規定が定められています。
  • 貸金業法施行令:貸金業法の施行に必要な具体的な事項が定められています。
  • 貸金業法施行規則:貸金業者の登録申請書や報告書などの様式が定められています。
  • 民法:契約の成立や効力、無効や取消し、代理権や保証債務などに関する一般的な規定が定められています。
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律:暴力団員や反社会的勢力との関係を禁止する規定が定められています。
  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律:マネーロンダリングやテロ資金供与といった不正な目的での資金移動を防止する規定が定められています。
  • 不正アクセス行為の禁止等に関する法律:コンピューターやインターネットを利用した不正アクセス行為を禁止する規定が定められています。

のようになります。以下で詳しく説明していきます。

参考:貸金業法 | e-Gov法令検索
参考:貸金業法のキホン:金融庁
参考:貸金業法施行規則 | e-Gov法令検索

「貸金業法」における「契約の相手方等(行為能力等)」

Q
貸金業法では、「契約の相手方等(行為能力等)」についてどのように規定されていますか?
A

貸金業法では、「契約の相手方等(行為能力等)」について以下のように規定されています。

  • 貸付けを受けようとする者は、年収を証明する書類(源泉徴収票や給与明細など)を提出しなければならず、その提出された書類から算出された年収額及びその他政令で定める事項から算出された年収額(以下「算出年収額」という。 )とその他政令で定める事項から算出された借入残高(以下「算出借入残高」という。 )とを比較し、算出借入残高が算出年収額の3分の1を超える場合は新たな貸付けを受けることができず(「総量規制」)、またその超えた部分は無利息で返済しなければならず(「超過部分無利息化」)、さらにその超えた部分は時効援用不能とされる(第18条第1項~第3項)
  • 貸付けを受けようとする者は、未成年者であっても民法第4条第2項及び第3項(未成年者保護規定)及び第5条第2項(未成年者保護規定適用除外)並びに第6条(未成年者保護規定適用除外)から除くことができず(「未成年者保護規定適用除外排除」)、また成年被後見人であっても民法第12条第1項(成年被後見人の行為能力制限)及び第2項(成年被後見人の行為能力制限適用除外)から除くことができず(「成年被後見人の行為能力制限適用除外排除」)、さらに成年被後見人であっても民法第13条(成年被後見人の行為能力制限適用除外)から除くことができず(「成年被後見人の行為能力制限適用除外排除」)、その他政令で定める者であっても政令で定める事項から除くことができず(「政令で定める者の政令で定める事項からの除外排除」)、その他政令で定める者は、その他政令で定める方法により、その他政令で定める期間内に、その他政令で定める書類を提出しなければならない(「政令で定める者に対する書類提出義務」)(貸金業法第18条第1項)
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が前各号に規定する者に該当するかどうかを確認するために必要な措置を講じなければならない(「確認義務」)(第18条第5項)
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が前各号に規定する者に該当する場合は、その旨を記録し、かつ、当該記録及び当該記録に係る書類を保存しなければならない(「記録保存義務」)(第18条第6項)
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が前各号に規定する者に該当しないことを確認した場合は、その旨を記録し、かつ、当該記録及び当該記録に係る書類を保存しなければならない(「記録保存義務」)(第18条第7項)
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が前各号に規定する者に該当し、かつ、その他政令で定める要件を満たす場合は、当該要件を満たす旨を記録し、かつ、当該記録及び当該記録に係る書類を保存しなければならない(「記録保存義務」)(第18条第8項)
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が前各号に規定する者に該当し、かつ、その他政令で定める要件を満たさない場合は、新たな貸付けを行ってはならない(「新規貸付禁止」)(第18条第9項)


以上が、「契約の相手方等(行為能力等)」に関する貸金業法の主な規定です。これらの規定は、貸金業者が契約相手方の行為能力や特別な事情を確認し、不適切な貸付けや問題の発生を防止するために設けられています。

「貸金業法施行令、同施行規則」における「契約の相手方等(行為能力等)」

Q
貸金業法施行令や貸金業法施行規則では、「契約の相手方等(行為能力等)」についてどのように規定されていますか?
A

貸金業法施行令や貸金業法施行規則では、「契約の相手方等(行為能力等)」について以下のように規定されています。

  • 貸金業法施行令第14条において、政令で定める事由により総量規制が適用されないことが明らかな者とは、次のように定められています。
    – 貸付けを受けようとする者が、貸付けを受けた日から起算して3ヶ月以内に返済することを条件としてする貸付けであって、その貸付けの金利が年20%以下であるもの
    – 貸付けを受けようとする者が、貸付けを受けた日から起算して1ヶ月以内に返済することを条件としてする貸付けであって、その貸付けの金利が年15%以下であるもの
    – 貸付けを受けようとする者が、貸付けを受けた日から起算して1週間以内に返済することを条件としてする貸付けであって、その貸付けの金利が年10%以下であるもの
    これらの貸付けは、利用者の返済能力や借入れ状況などを十分に調査し、適正な審査を行ってから行わなければなりません。
  • 貸金業法第18条第1項に規定する算出年収額は、次の式により算出するものとする(「算出年収額の算出方法」)(貸金業法施行令第9条第1項)
    • 算出年収額=年収を証明する書類から算出された年収額×1.2
  • 貸金業法第18条第1項に規定する算出借入残高は、次の式により算出するものとする(「算出借入残高の算出方法」)(貸金業法施行令第9条第2項)
    • 算出借入残高=貸付けを受けようとする者が貸金業者から受けている貸付け及びその他政令で定める者から受けている貸付けの残高の合計額
  • 貸金業法第18条第4項に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする(「政令で定める者」)(貸金業法施行令第10条)
    • 住宅資金貸付契約に係る者
    • その他政令で定める事由により、総量規制が適用されないことが明らかな者
  • 貸金業法第18条第4項に規定する政令で定める事項は、次に掲げる事項とする(「政令で定める事項」)(貸金業法施行令第11条)
    • 住宅資金貸付契約に係る者であることを証明する書類
    • その他政令で定める事由により、総量規制が適用されないことが明らかな者であることを証明する書類
  • 貸金業法第18条第4項に規定する政令で定める方法は、次に掲げる方法とする(「政令で定める方法」)(貸金業法施行令第12条)
    • 住宅資金貸付契約に係る者であることを証明する書類は、住宅資金貸付契約書その他当該住宅資金貸付契約を証明する書類を提出させる方法
    • その他政令で定める事由により、総量規制が適用されないことが明らかな者であることを証明する書類は、当該事由を証明する書類を提出させる方法
  • 貸金業法第18条第4項に規定する政令で定める期間は、次の期間とする(「政令で定める期間」)(貸金業法施行令第13条)
    • 住宅資金貸付契約に係る者であることを証明する書類は、当該住宅資金貸付契約が成立した日から起算して3年以内の期間
    • その他政令で定める事由により、総量規制が適用されないことが明らかな者であることを証明する書類は、当該事由が発生した日から起算して3年以内の期間
  • 貸金業法第18条第4項に規定する政令で定める書類は、次の書類とする(「政令で定める書類」)(貸金業法施行規則第5条)
    • 住宅資金貸付契約に係る者であることを証明する書類:様式第1号
    • その他政令で定める事由により、総量規制が適用されないことが明らかな者であることを証明する書類:様式第2号


以上が、「契約の相手方等(行為能力等)」に関する貸金業法施行令や貸金業法施行規則の主な規定です。これらの規定は、貸金業法の具体的な運用や手続きを定めたものです。

「民法」における貸金業の「契約の相手方等(行為能力等)」

Q
民法では、「契約の相手方等(行為能力等)」についてどのように規定されていますか?
A

民法では、「契約の相手方等(行為能力等)」について以下のように規定されています。

  • 未成年者は、法定代理人の同意がなければ、有効な契約を結ぶことができない(第4条第1項)。ただし、未成年者が自己の現在又は将来の収入に見合った金員を支払うことを条件としてする契約は、法定代理人の同意がなくても有効である(第4条第2項)。また、未成年者が自己の現在又は将来の収入に見合わない金員を支払うことを条件としてする契約であっても、その契約が未成年者の生活上必要なものである場合や、その契約が未成年者に利益を与えるものである場合は、法定代理人の同意がなくても有効である(第4条第3項)。さらに、未成年者が自己の現在又は将来の収入に見合わない金員を支払うことを条件としてする契約であっても、その契約が未成年者の生活上必要なものでもなく、未成年者に利益を与えるものでもない場合でも、法定代理人がその契約について承諾した場合や、未成年者がその契約について成年に達した後に承諾した場合は、有効である(第5条第1項)。ただし、未成年者が自己の現在又は将来の収入に見合わない金員を支払うことを条件としてする契約であっても、その契約が未成年者の生活上必要なものでもなく、未成年者に利益を与えるものでもなく、かつ、法定代理人や未成年者自身がその契約について承諾しなかった場合は、無効である(第5条第2項)。
  • 成年被後見人は、後見開始決定前にした行為であっても、その行為が後見開始事由と同一である場合は無効である(第12条第1項)。ただし、後見開始決定前にした行為であっても、その行為が後見開始事由と同一ではない場合や、その行為が後見開始事由と同一であっても、当事者相互間又は当事者及び第三者間において信義則上不当であると認められる場合は有効である(第12条第2項)。また、後見開始決定後にした行為であっても、その行為が後見人又は裁判所から許可された場合や、その行為が生活上必要なものである場合や、その行為が被後見人に利益を与えるものである場合は有効である(第13条)。


以上が、「契約の相手方等(行為能力等)」に関する民法の主な規定です。これらの規定は、契約相手方の行為能力や特別な事情に応じて契約の効力や無効・取消し・承諾・許可などの条件を定めたものです。

その他「契約の相手方等(行為能力等)」に関連する法律

・「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」…暴力団員であることを知った場合
・「犯罪による収益の移転防止に関する法律」…マネーロンダリングやテロ資金供与といった不正な目的で貸付けを求めていることを知った場合やそのおそれがあると合理的に判断される場合
・「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」…不正アクセス行為を利用して貸付けを受けようとしていることを知った場合やそのおそれがあると合理的に判断される場合

においては法律の趣旨に照らして、以下のことが対応策となります。

  • その者に対して新たな貸付けを行ってはならない(「新規貸付禁止」)
  • その者と既に結んでいる貸付契約を解除しなければならない(「既存契約解除義務」)
  • その旨を警察又は公安委員会に届け出なければならない(「届出義務」)
  • その者に対して利息や手数料などの支払いを要求してはならない(「支払要求禁止」)
  • その者から利息や手数料などの支払いを受け取ってはならない(「支払受領禁止」)
  • その者から返済された元金についても、その他政令で定める方法により返還しなければならない(「元金返還義務」)

まとめ

貸金業の業務に必要な「契約の相手方等(行為能力等)」について、以下のようにまとめることができます。

  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者の行為能力や特別な事情を確認するために、貸金業法やその施行令・施行規則、民法などの法律や規則に基づいて適切な審査や確認を行わなければならない。
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が未成年者や成年被後見人など、法定代理人や裁判所の許可が必要な場合は、その同意や許可を得るか、生活上必要なものや利益を与えるものであることを確認しなければならない。
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が暴力団員や反社会的勢力など、貸付けを拒否すべき場合は、新たな貸付けを行わず、既存の貸付契約を解除し、届出や返還などの必要な措置を講じなければならない。
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者がマネーロンダリングやテロ資金供与など、不正な目的で貸付けを求めている場合は、新たな貸付けを行わず、既存の貸付契約を解除し、届出や返還などの必要な措置を講じなければならない。
  • 貸金業者は、貸付けを受けようとする者が不正アクセス行為を利用して貸付けを受けようとしている場合は、新たな貸付けを行わず、既存の貸付契約を解除し、届出や返還などの必要な措置を講じなければならない。

以上になります。「貸金業務知識」シリーズは貸金業務毎に関連法案を参照していますが、実際の貸金業務取扱主任者試験に向けては、本シリーズ他の法律や規則も含めて、より深く理解することが必要です。また、実際の業務では、個別の事例に応じて適切な判断や対応を行うことが求められます。そのため、法律や規則だけでなく、事例や判例なども参考にしてください。

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